DV(ドメスティック・バイオレンス)とは
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者や恋人など親密な関係にある(あった)者から振るわれる暴力を指します。ここでいう「暴力」とは、殴る・蹴るなどの身体的な暴力だけではありません。具体的には、以下のとおりです。
●身体的暴力:殴る、蹴る など
●精神的暴力:大声で怒鳴る、暴言を浴びさせる、無視する、生活費を渡さない など
●性的暴力:嫌がっているのに性行為を強要する、中絶を強要する、避妊に協力しない など
上記のうち、言葉や態度等によって行われる「精神的暴力」による嫌がらせをモラルハラスメント(モラハラ)といい、DV(ドメスティック・バイオレンス)の1つとされます。
モラハラ(モラルハラスメント)とは
近年、モラハラが理由で離婚する夫婦が増加傾向にあります。
モラハラという言葉も広く知られるようになりましたが、「自分が大げさなのではないか」「悪いのは自分ではないか」と悩んでいる人が多いという現実もあります。
モラハラは、大声で怒鳴りつける・暴言を吐くという行為だけを指すのではありません。簡単にいうと「家庭内におけるいじめ」のようなものであって、無視をしたり、気に入らない食事に手をつけない、などの発言ではない行為も、モラハラにあたり得るのです。
一見すると、一つひとつは大したことのない行為のように見えるかもしれません。しかし、このような行為が日常的に繰り返されたら、精神は確実に痛めつけられてしまいます。自尊心や判断力を徐々に低下させ、行動や思考までコントロールしようとする(されてしまう)こともあるのです。
(モラハラの例) ・怒鳴ったり、物に八つ当たりするなどして怖がらせる ・何時間もしつこく文句を言ったり問い詰めたりする ・土下座を強要して謝らせる ・大切にしている者を壊す、勝手に捨てる ・「別れるなら死ぬ」と脅す |
・わざと大きな音を立ててドアを閉めたり、壁やドアをたたいたりなどして怖がらせる ・「こんなことも分からないのか?」といった上から目線の発言をする ・子どもの前で「母親失格」「ダメ母」「父親の自覚がない」などの悪口をいう ・外出する際に許可をとらせる ・自分の趣味にはお金を惜しまないが、配偶者には極端な節約を強いる |
DV・モラハラを理由に離婚できる可能性がある
通常、夫婦が協議の上で離婚届を提出する協議離婚による場合や、家庭裁判所の関与の下で調停を行う調停離婚などによる離婚が多いですが、DVが存在する場合は夫婦が合意によって離婚することは困難です。そこで、裁判が有効な手段となります。
裁判によって離婚する場合は、DV加害者が離婚したくないと言っている場合でも、裁判でDVを立証できれば離婚することができます。DVは法定離婚原因の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるからです。暴力が原因、ということから、あわせて慰謝料も請求できます。
もちろん、状況によっては、離婚よりも先に一刻も早くパートナーから離れ、逃げることが重要です。全国の都道府県設置されている配偶者暴力相談支援センターや警察、弁護士など第三者に相談し、ご自身の身を守ってください。
DV・モラハラの証拠
DVを理由に離婚したい場合は、DVを受けたことを証明するために医師の診断書をもらったり、被害の様子を写真・ビデオに撮るなどの記録を取ったりしておきましょう。離婚裁判で証拠として用いることができます。
身体的暴力による暴行・傷害事件として刑法上の処罰を求める場合、これらの証拠は警察に告訴をする際にも利用できます。日々の暴力や暴言態度を記載した日記や、警察への相談実績なども有力な証拠になりますので、具体的に内容を書き留めておくとよいでしょう。
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